そろそろ次の論文の準備に着手。まずは南進論と台湾籍民、台北帝大などに関する先行研究を読み始める。 清水元の「アジア主義と南進」(『近代日本と植民地 4』、岩波書店)に、おもしろい箇所を発見。忘れないようにメモメモ。 このような南進論が日本人の南進の権利意識の露呈へと傾斜したのは必然的経過であった。日本人の東南アジアへの具体的関心は事実上その「富源」の一点に収斂し、さらに興味深いことには、それらが「天恵」とか「天富」といった具合に「天」の形容詞の下に語られたことである。これらの用語には「天」が万人に均しく分け与えたものというニュアンスが込められ、したがって、この富の分け前に与かることは世界的規模での「分配の公正」を実現する上で不可欠の方途にほかならない。しかも、これらの言葉は一方では、「無主無人の地」、「未開発」、「他の来たって之を開発するを俟つあるのみ」といった表現と対をなして用いられ、東