釣り人の「不法侵入」が止まらない防波堤がある。神栖市にある鹿島港南防波堤。全長約5キロというその長さで人気を集める半面、大海に突き出ているだけに高波をかぶればひとたまりもない。県の港湾事務所によると、開港から40年間で84人が落下、65人が死亡しているという。先月23日には16人が軽犯罪法違反容疑で摘発されたが、なにせ釣果がいいとあってその後も「侵入」が収まる気配はない。(中村真理) 〈この防波堤は高波などで非常に危険です。既に65名の死亡者を出す事故が発生しています〉。大きく掲げられた掲示板と鉄製の門。1日午後4時前、南防波堤の入り口に次々に車が集まり始めた。所沢、習志野、宇都宮、千葉……遠方のナンバーが並ぶ。後部座席や荷台に小型バイクや自転車を積んでいる。 門から出る防波堤工事の関係車両を横目に、男たちは長靴に履き替え、自転車の荷台にクーラーボックスをくくりつける。「今日は何?