外に出ると、庭のナンキンハゼの木が「アツイ アツイ」と言っていたので、もうすぐ夏がくると思った。 息を吸うと、梅雨特有の湿度を伴った空気が肺を満たした。 雨上がりのせいか、遠くの山がとても綺麗に見える。暑い。 空を見上げると、太陽が「申し訳ない」というように両手を合わせていた。 さて、と私は思った。 庭の隅に小さな家庭菜園がある。4月にトウモロコシと里芋を植え付けて育てていた。 先週、実をつけ始めていたトウモロコシが夜の間にタヌキに食べられて全滅した。ネットを張っておくべきだったなと思ったが、もう遅い。 トウモロコシには悪いことをしたと思った。 里芋の方は順調に茎を出し葉を伸ばしている。 一週間前までは手のひらより小さかった葉が、今はもう顔くらいの大きさになっている。 10株ほどある里芋の一つ一つを見て回り、「大きくなったなあ」と呟いたら、その一つが「ソウカモネ。」と返事をした。 私は、家