昭和62年2月 明日が立春という日に 約2年間住み慣れた 間借りの下宿部屋を引き払った 父親が軽トラックで迎えに来てくれ ビンボー男子学生のわずかな荷物は あっという間に積込み完了した 階下の大家さんへ、父親が持参した お礼の品を渡しながら、最後の挨拶をした すると、先日払った2月分の下宿代を 「寸志だよ。帰りの交通費と昼飯代にして」と 全額返してくれた その日は風も無い穏やかな日で エアコンの付いて無い車内は 窓を開けていても、重ね着した 冬の装いでは、陽射しで暑すぎるくらいだった 大家さんから頂戴した寸志で 休憩がてら、国道沿いのラーメン屋で 味噌ラーメンと餃子の昼食 14時頃には実家に到着し 荷物を降ろして整理しているうちに 早春の太陽は沈んだ 夕飯はカレーライスだった 翌日からアルバイトを探した 4月から都内の校舎への通学が始まるので 希望は3月末までの短期 求人雑誌を購入して探し