ある日突然、あなたの家に警察がやってきて、身に覚えのない脅迫事件の犯人として逮捕される。取り調べで「それでもボクはやってない」といっても無視され、保護観察処分になり、大学を辞めざるをえなくなるなど人生を大きく狂わされる。ネットを使っているだけの、ごく一般的な人たちがそういう目にあったということで、今回のパソコン(PC)遠隔操作事件に対する社会の関心は高い。 ≪狙われたシステム弱者の人間≫ しかし一歩引いてみれば、一番の疑問は「疑わしきは罰せず」という昔はよくいわれた抑制がなぜ機能しなかったか、である。しかも、従来は権力の乱用に対し警鐘を鳴らすことを旨としてきたマスコミも、この点については問題だと感じていないように思える。 「ネットの絡む犯罪はいままでにない新種の犯罪で、どうなるかわからない」。わからないから怖い--だからリスクを少しでも減らすために過剰反応であっても強く対策を--という話な