【水平垂直】 政府と東電が21日示した福島第1原発の廃炉工程表にはいくつもの「世界初」の難問が待ち受ける。東電が廃炉に伴う資金をどのように調達するかも焦点となる。 廃炉完了までの道程は最長で40年と長い。作業で最初の壁となりそうなのが、格納容器の損傷場所を補修し、容器内を水で満たす「冠水」だ。 燃料の取り出しは、放射線の遮蔽と冷却の必要があるため、通常時でも水中で行われる。そこで、燃料取り出しに向けて、米スリーマイル島原発事故(TMI)でも実績のある冠水を行うことにした。 だが、第1原発では原子炉が損傷し、高濃度の汚染水が外に漏れ続けている。冠水には漏洩(ろうえい)場所を補修する必要があるが、現在は漏洩場所の特定すら困難な状況だ。 エネルギー総合工学研究所・原子力工学センターの内藤正則部長は「(漏洩場所の調査・修復は)線量の高い水中での作業。前例も装置もなく、TMIを超える難所に