【北京=竹腰雅彦】中国共産党の汚職摘発部門・中央規律検査委員会は10日、天津市トップの黄興国・市共産党委員会代理書記(兼市長)(61)を重大な規律違反の疑いで調査していると発表した。 黄氏は、 習近平 ( シージンピン ) 国家主席に近い子飼いの一人。習氏は、「反腐敗」(汚職摘発)を通じ政敵を排除する手法で権力固めを進めてきたが、習派の大物の摘発は初めてとみられる。 指導部の大幅な入れ替えが行われる党大会を控え、党内では人事を巡る主導権争いが強まっている。黄氏の摘発も、権力闘争の激化を反映したものである可能性がある。 黄氏は浙江省での勤務が長く、同省で長く地方指導者を務めた習氏と親密な関係を築いたとされる。今年1月には、「習総書記という核心を断固守る」と発言し、地方トップによる習氏への「忠誠競争」に 先鞭 ( せんべん ) をつけた。