表題が率直に言っていまいちというか誤解を招きやすい。確かに「健康の天才たち(山崎光夫)」(参照)は、日本人の健康を支えた天才たちの列伝といった趣はあるが、むしろ興味深いバイストーリーとしての日本近代史だった。おもしろいという点では、最近読んだ本のなかでは「西遊記6 王の巻(斉藤洋)」(参照)に並ぶ。歴史に関心ある人、あるいは私より年上の人なら読んで損はないだろう。 なぜこの本が近代史であり無性に面白いのか。いきなり飛躍した言い方をすると、日本の近代史とは疑似西洋的な国民国家日本の創出のプロセスであり、かつその意味は国民皆兵化にあったことに関係する。日本近代の歴史は太平洋戦争の敗北によって轟音を立てて崩れたかに見えるがそうではなく、戦後の国家工場化にすり替わっただけで、国民を皆兵化するという道が崩れたわけではない。軍事国家のシステム従軍慰安婦は戦後も経済マシンのなかで同構造を持っていたことは