韓国の首都ソウルから南へ40キロに位置する龍仁市、そこに法輪寺という美しい寺がある。この境内の一角に、太平洋戦争当時、朝鮮人でありながら日本兵あるいは日本軍属として戦死した人々を弔う『帰郷祈願碑』がある。石碑ならば普通建っていそうなものだが、ある事情から横たえられた姿で安置されている。 【写真】建てられた祈願碑と、執拗な抗議で半分埋められた祈願碑ほか 2018年10月17日。寺では「重陽節法要」が行われていた。 「重陽節」とは、旧暦の9月9日に行う節句。韓国では、「非業の死」を遂げた方をお祀りする意味があるという。 法輪寺本堂で日本人と韓国人の参加者たちを前にひとりの日本人女性が、流暢な韓国語、そして日本語で挨拶をした。女優の黒田福美(63)である。 「みなさん、こんにちは。『帰郷祈願碑』を法輪寺に安置してから10回目の法要を迎えました。そしてまた、新しいスタートが始まります」 黒田といえ