= 覚え書(34) = 前回、「鋭い唐突性によって、鋭く浮かび上がって達意の主局」に立っており、明らかに掲称的語局であるケースについて述べました。そこで今回は、前回挙げた例ほどは明確な掲称的語局ではないとしても、掲称的語局であるために、あるいは掲称的語局になりやすいために、無冠詞が用いられる傾向がある表現および語句を見ていきましょう。 まず、前置詞の of に注目しましょう。of という前置詞は他の前置詞に比べて掲称力のかなり強い前置詞であり、of の後に無冠詞の名詞が現れやすいと言えます。現在では熟語化しており、本来の掲称性があまり感じられなくなっているものも多くありますが、無冠詞の表現として注目しておくべきものがあります。例えば、"a kind of" の後に来る名詞が原則として無冠詞である、というようなケースです。これは本来「…の一種」であり、of の目的語である "…" の部分が掲