かれのスタンスでいけば、たとえば風邪ですら反証不可能ということになりかねない。原因となるウィルスや細菌を特定できないんだから。「この患者に症状を引きおこした有力な原因と疑われるライノウィルスの関与は否定された、だから風邪の疾病概念は反証された」などと言うひとはいないだろう。
1.はじめに 少々間が空きましたが、「奇跡のリンゴ」に対する批判を再開します。 以前も説明しましたが、木村秋則氏はとにかくリンゴに関する数字を出しません。栽培技術を評価する基準として収穫量は必須なのですが、私が調べた限りでは、「奇跡のリンゴ」の収穫量に関して、本人による具体的な説明はありません。ただし、木村氏の支持者である弘前大学教授の杉山修一博士は収量の低さを認めています。他にも、収量が低いらしいという不確実な情報はありました。 参考:すごい畑のすごい土(幻冬舎新書) 「奇跡のリンゴ」は、なぜ売れたのか〜「木村秋則」現象を追う〜(農業技術通信社) 自然栽培「奇跡のリンゴ」に学んだ畑はどうなった?(現代農業) 「奇跡のリンゴ」を収穫量の点から評価した信頼できる資料はないものかとNII論文情報ナビゲータ(CiNii)で論文を検索したところ、それらしい資料が日本土壌肥料学会の講演要旨集に掲載さ
主要なテレビ番組はほぼすべて視聴し、「週刊新潮」などに連載を持つライター・イラストレーターの吉田潮氏が、忙しいビジネスパーソンのために、観るべきテレビ番組とその“楽しみ方”をお伝えします。 『Woman』(日本テレビ系)は、貧困と病気に翻弄されつつも、健気に生きていくシングルマザーを描いたドラマだ。私の周囲の女性たちやドラマ好きには大好評だし、シングルマザーでなくとも、「母と娘のこじれた関係性」の部分に敏感に反応しているようだ。が、男性の反応はイマイチ。実はこのドラマ、男性にこそ観てほしい内容なのだ。 主役は満島ひかり。夫を事故で亡くし、ふたりの子供を抱え、かけもちパートで糊口をしのぐシングルマザーだ。自分を捨てて、男(小林薫)と逃げたと思っていた母親(田中裕子)は、実は亡くなった父からDV(家庭内暴力)を受けていたという真実を知る。田中と小林は再婚し、ちょっと精神的に不安定なひとり娘(二
僕は常時寝不足なので、買った小説の8割がたは100ページ前後で眠くなり、二度と手に取ることなく捨ててしまう。そんななか、カフェをはしごして8時間ほどで最後まで一気読みしてしまったのが、カミカゼアタック(神風特別攻撃隊)の当事者を主人公として当時の国や家族模様を描いた本書である。小説では『手紙』(東野圭吾)以来の当たりだった。 本作がデビュー作だった百田氏は、持ち込みに際し、大手出版社が軒並み却下し、最後に畑違い(サブカル系メイン)の太田出版が出してくれてダブルミリオン(200万部)突破、というだけでも読む価値がある。大手出版社の文芸編集者がいかに新人を無視し、作品の中身を見る眼が欠落しているか、がよくわかるエピソードだ。 僕がいいと思う小説は、正面から「カ・ド・コンシアンス問題」(悩みに悩んでも正解が得られない問題)をメインテーマとして扱っているもの。サンデル教授の白熱教室のように、答えの
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