埼玉県と熊谷市が、昨年2月に公費で実施した希少魚「ムサシトミヨ」の生息数調査の結果を非公表としていることが、毎日新聞の取材で分かった。同様の調査は5回目だが、非公表は初めて。県と市は取材に「推定生息数が前回調査を大きく下回り、混乱を招く」と非公表理由を説明しているが、調査関係者は「数が大きく減っていることは事実とみられるのだから、隠蔽(いんぺい)するのではなく、現状を世の中に伝えて保護活動に生かすべきだ」と批判している。 調査は1996年からほぼ5年おきに、熊谷市内の元荒川上流部の生息流域2キロで1~2月に実施。サンプル区間を選んですくい網で捕獲し、その数とすみかとなる水草の生育状況から生息数を推定する。「ムサシトミヨ保全推進協議会」を構成する県や市、市民団体「熊谷市ムサシトミヨをまもる会」などが調査を担い、従来は県と市が5月ごろに結果を公表してきた。