前回に続いて、苅谷剛彦+増田ユリヤ著『欲ばり過ぎるニッポンの教育』のフィンランドに関する部分について。 まず、「フィンランドでは高校進学率が60%」と繰り返し書き、日本がそうであれば学校にまつわる社会問題は少ないだろうというが、フィンランドで残り30%が進学する職業学校で大きな問題があることは検証していないし、住んでいてもそんなことは聞かない。 フィンランドの学校での問題の少なさ(日本に比べて)は、別のところで書いてあるように、学校が知識の提供に目的を絞っていて日本のように生活指導を度外視しているという理由の方が大きいと思う。だから60%という数字を何度も持ち出す意図が解らないし、そもそも60%という数字自体が中学卒業後の「職業学校」を高校に含めるかどうかで恣意的に決められる。本にも書いてあるように、この職業学校からは大学へも進学できるし、「共同応募」で普通高校と併願もでき、単位の交換さえ