日本経済の根幹を占めてきた家族経営の中小企業。だが、団塊世代の経営者がリタイヤを考えはじめた現在、こうした企業はなだれをうって倒産していく可能性がある。その数、年間4万社──。展望はないのか、英経済紙が取材を重ねた。 2016年後半、当時株式会社まるきの社長であった石渡英明は80年間続けたスーパーマーケットを閉める決意をした。祖父が設立し、3代にわたって受け継いできた店であるが、石渡の息子はあとを継ぐことにまったく関心を持たず、他の後継者もいないうえ、客数も減少しつつあったのだ。 しかし、日本では珍しいとされているが、こうした問題にも解決策がある。M&Aだ。中小企業を対象とした仲介会社に頼り、新たな展望をもとに事業を売却する。閉鎖が確実視されていたスーパーマーケットまるきにも、売却先が見つかった。おかげで現在も、屋号は変わったが営業を続けることができている。 このような取引は、見通しの立た