厚生労働省がようやく重い腰を上げた。毎月勤労統計調査で賃金上昇率が高めに出ている問題で、5日公表の8月分速報値から発表文の記載形式を変更。これでエコノミストやメディアの誤信を招きかねない状況はある程度改善されそうだ。ただ、アベノミクスの成否を占う重要な経済統計で、当初から認識していた数値の上振れをしっかり説明してこなかった「不作為」への批判は免れない。 【写真】参考値を公式値とともに前面に出した5日の発表資料 今回の変更で公表資料の前面に出した「参考値」は、数値が上振れする原因となった作成手法変更の影響を除いた数値で、実勢に近い。従来は公表資料の末尾に記載するだけで、上振れした公式値がそのままメディアに報じられてきた。 メディア向けの「報道発表資料」では、公式統計値に作成手法変更の影響が出ていることも新たに記載した。厚生労働省の担当者は西日本新聞の取材に「もっと早く説明すべきだった」と対応