このたびは,合格,おめでとうございます。 ロシア語を大学で学ぼうと決めていた人,迷っている人——皆さんはいま極めて複雑な気持ちにいると思います。無理もありません。皆さんにこうして手紙をしたためている私自身そうですから。2月24日に始まったロシア連邦によるウクライナへの軍事侵攻は,一瞬にして世界を変えてしまいました。 ロシア語を勉強しようとするとき,その目的は様々かと思います。そのうち一部の目的は,今回の戦争で間違いなく損なわれたでしょう。また,ロシア連邦が世界において著しく評判を落としたのも確かでしょう。文化人類学の立場からシベリアを研究してきた者として,私自身がこれまで築き上げ,また,成し遂げていこうと思ってきたこと——たとえそれがごく僅かばかりのものだとしても——の一部分は確実に崩壊しました。ロシア語と向き合う姿勢もまた,以前と同様という訳にはいきません。 ですが,二つのことを皆さんに
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