大学に来てメールボックスをチェックするとき、いちばん頭が痛いのが、「献本」である。 自分もずいぶんたくさんの人に本を送りつけているので、人のことは言えないのだが、それは友人知人宛てであって、見知らぬ人に送るということはしない。 もちろん、編集者が独自の判断で送るということはある。各紙の書評担当者に送るとか、あるいは一読して激怒、私に筆誅を加えそうな書き手にも送ることがある(そうすれば書名が繰り返しメディア上で言及され、高いパブリシティ効果が期待できるからである。「これほど悪口を言われる本なら読んでみたい」というふうに考える読者は決して少なくないのである)。 私だって友人知人から送られてくる本はうれしく頂戴する。 困るのは知らない人から送られる自費出版本である。 私も自費出版で何冊も本を出したことがあるから、市場のニーズとは違うレベルで、それぞれに深い思いと個人的必然性があって本を出された事
安藤礼二所員の新刊が、講談社より出版されました。 本書は、雑誌『群像』に連載された論考を中心に、関連する三篇の補遺をあわせて 構成されています。 【目次】 はじめに 第一部 神秘の薔薇 第一章 新世界への羅針盤 第二章 美しき存在 第三章 バベルの図書館 第四章 神秘の薔薇 第二部 霊性と曼陀羅 第五章 霊性と曼陀羅 第六章 オン・ザ・ロード 第七章 天界と地獄 第八章 場所と産霊 結び 迷宮のなかの両性具有者、エルキュリーヌ・バルバン 補遺 もう一つの視点から 場所と産霊−西田幾多郎と折口信夫の「身体」 石が語る−南方熊楠「燕石考」の神話論理 ハイデガーからスフラワルディーへ 後記 講談社のサイトにおける、本書の紹介は以下の通りです; 世界は多元的であるがゆえに一つである。 われわれの思考、言葉と表現の生まれた場所とは!? 近代思想史を斬新に塗りかえる画期的論考。 <本書に登場する主な人
世間にあふれる自己啓発本で書かれている内容、例えば、マイナス思考はやめてポジティブ・シンキングにしようとか、成功するためには成功したイメージを思い描こうとか、そういう話は本当なんだろうか? 本当ってどういうこと? そういう自己啓発の要点について科学的に実験してみたら妥当性がわかるんじゃないか? ということで、その観点から既存の各種心理学的・社会学な実験論文をまとめたところ、自己啓発本のエッセンスの大半が、ハズレです、というのがわかる痛快な本だ。つまり、ポジティブ・シンキングしても事態は改善しないし、成功した自分をイメージしても成功しない。それどころか、逆効果のようだ。 本書の目次を見ても自己啓発本の要点がスパスパと切られていくのがわかる。自己啓発はあなたを不幸にする、面接マニュアルは役立たず、イメージトレーニングは逆効果、創造力向上ノウハウはまちがいだらけ、婚活サイトに騙されるな、ストレス
『南方熊楠コレクション 全5巻』南方熊楠 著/中沢新一 編集(河出書房新社) が2009年11月10日(火)に再刊されます。 第1巻 『南方マンダラ』 日本人の可能性の極限を拓いた巨人の中心思想=南方マンダラを解き明かす。 第2巻 『南方民俗学』 ライバル柳田國男への書簡と「燕石考」などの論文を中心に、 現代の構造人類学にも通ずる、地球的規模で輝きを増しはじめた具体の学をまとめる。 第3巻 『浄のセクソロジー』 生命の根幹にかかわり、生成しつつある生命の状態に直結する「性」の不思議をあつかう 熊楠セクソロジーの全貌を、岩田準一あて書簡を中心にまとめる。 第4巻 『動と不動のコスモロジー』 熊楠の人生の軌跡を、若き日の在米書簡やロンドン日記、 さらには履歴書などによって浮き彫りにする。 第5巻 『森の思想』 熊楠の生と思想を育んだ「森」の全貌を、神社合祀反対意見や南方二書、 さらには植物学関
農政アナリストの山下一仁さんは、昨年までだったか、私が毎朝聴くNHKラジオで決まった枠をもって農政関連の話をしていた。その切れ味の鋭さから氏の意見をその後もおりを触れて傾聴してきたが、今年の年頭、本書「農協の大罪」(参照)が出て少し驚いた。著作は専門的な内容に限定されるとなんとなく思っていたのに、一般向けの書籍でわかりやすうえ、過激であったことだ。 「過激」という表現は正確ではない。高校生でもわかることが普通に理路整然と書かれているに過ぎない。農協がいかに日本の農業を滅ぼしたか、すっきりわかる。つまり、それが「過激」であると言うことになる。フォーサイト9月号記事「どこへ言った民主党『農政の理念』」で知ったのだが、本書は全国農業協同組合中央会(全中:JA)の「禁書」に指定されたらしい。妙に納得した。 日本という国の空気を多少なり知った大人なら、農協批判が逆鱗に触れる話題であることはわかる。以
先に刊行された『Murder Watcher vol.5 殺人大パニック!』が福島県教育委員会から有害図書指定を受けたと連絡があった。洋泉社でははじめてのことだという。『萌え萌えお仕置きアイテム辞典』や『多重人格探偵サイコ』などと並ぶと、なんとなく達成感があるのが不思議だ。ちなみに「著しく青少年の自殺又は犯罪を誘発し、その健全な育成を阻害する恐れがある」そうである。おかしいなあ。我々としては日々健康優良不良少年の育成をめざしているのだが。 先日開かれた編集会議では、この指定を重く受け止め、今一度初心にかえって青少年健全育成のために活動してゆくことが確認された。そのため次号は少し間をおいて年内刊行予定。福島県犯罪史を大特集する。いや、福島はいいのがいろいろあるんですよ。全六巻のすばらしい『福島県犯罪史』なんて本まであるくらいの犯罪先進県ですからね。乞うご期待!
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く