1960年代の半ば過ぎから後期にかけて、日本でもフォーク・ムーブメントという現象が起こった。 ギターを弾いていくつかのコードさえ押さえられれば、自分の言葉を綴った歌という形にして、社会に対する疑問や怒りを意思表示して伝えることを知った若者たちが、日本中のあちらこちらでギターを抱えて歌い始めたのだ。 当時は「プロテスト・フォーク」とも呼ばれたが、アメリカのピート・シーガーやボブ・ディランに代表される「フォーク歌手」の影響を強く受けていた。 60年代後半からに70年代にかけて登場した関西フォークの高石ともや、中川五郎、岡林信康、高田渡などの特徴は、「自作自演」であること以外に、自己の内面を見つめる視点を持っているシンガーであり、歌詞が社会に訴えかけるメッセージ性を内包しているところだった。 同志社大学の大学生だった岡林信康が歌う「山谷ブルース」は、同世代の若者以外にも広く伝わる心情が歌われてい