「素直になれるといいね。」 まりが言った。 とたんにイライラが込み上げて それが口から溢れ出る前に席を立った。 「帰るわ。」 「ちょっ、どうしたの?」 「用事思い出した。ごめん。」 慌てて荷物をまとめるまりを無視して レジに向かい 自分の分だけ払ってさっさと店を出ると 一番近くにあった地下鉄の階段を下りた。 いつも使っている路線じゃないけど なんとかなるでしょ。 改札を抜けてホームに出ると ちょうど電車がきたところで ドアが開くなり行き先も見ずに乗りこんだ。 ドアの脇に立って改札のほうを見ても まりは追ってきていない。 ドアが閉まる瞬間ちょっと笑えた。 なんで逃げてんだろ・・。 「素直になれるといいね。」と 言ったまりの顔を思い返すと また少しイラっとした。 何?素直って。 スマホの路線検索で帰り方を検索。 ああ、この電車逆方向だわ・・。 遠回りして家に着いたら 20時を少し過ぎたところだ
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