私がまだ駆け出しだった頃。ある東京の中小製造業で見た話だ。 部長が激昂していた。 「何度言ったらわかるんだ!てめえ、仕事を舐めてんな。」 どうやら、上司の指示を守らず、何度も同じミスを繰り返したらしい。 周りの方々も凍りついている。 叱られた部下の表情からは、彼が何を考えていたのかをうかがい知ることはできなかったが、 その後も、彼は度々遅刻を繰り返し、ついには休職に至ってしまった。 私は「会社といえど、あんな汚い言葉で人を罵るのが許されるのか」と、暗鬱な気持ちになったことはよく覚えている。 ■ 前提として、何かをやらせたい時、人を罵倒することは不合理そのものである。 まず、罵倒をして状況が改善されることはない。 改善のためには、「何が悪い」「次はどうすれば良い」を、実行可能な形で理解させなければならないが、感情的な罵倒はそれを遮る。 さらに罵倒された側は萎縮するか、または当人に対して恨みを