日本銀行の黒田東彦総裁は2013年3月の就任後間もなく、2年程度の期間を念頭に2%の物価安定を目指す「衝撃と畏怖」型の異次元金融緩和を打ち出した。同総裁の退任が8日に迫る中、今後2年で見ても目標の実現にはなお手が届かない。 世界の中央銀行のルールを書き換えた10年に及ぶ実験的な政策を実行した黒田日銀は、国債や社債、上場投資信託(ETF)など累積で計1550兆円相当の資産を買い入れた。 黒田総裁は10年間にわたって推進してきた大規模な金融緩和策について、効果が副作用を上回り、成功だったと胸を張る。6日の参院財政金融委員会では、大規模緩和によって日本経済はデフレから浮揚し、持続的な成長の実現へ「着実に歩みを続けている」と主張した。功罪相半ばする大規模緩和の評価には時間が必要だ。日銀は7日午前、黒田総裁の退任会見を同日午後3時半から開催すると発表した。