2019年9月5日 京都大学大学院経済学研究科 特任教授 安田 陽 記号論理学の世界 今回はいつも普段から言ってることをちょっと趣向を変えて書くことにします。はじめに数学の話をしましょう。記号論理学や数理論理学の分野では、存在量化子 existential quantifier という記号があり、∃と表記されます(アルファベットのEを反転したものです)。また、全称量化子 universal quantifier と呼ばれる記号もあり、これは∀と表記されます(アルファベットのAを逆さにしたものです)。 前者は「ある?」もしくは「少なくとも一つ存在する」ということを表す記号であり、∃xは「ある(少なくとも一つの)xについて」ということを意味します。また後者は「すべての」を表す記号であり、∀xは「すべてのxについて」という意味を表します。 ここで、任意の対象xに対して任意の属性Pが与えられた際に