さて。東洋経済オンラインから「貧困男性当事者についての記事を連載してほしい」という打診メールをいただいたのに、即日で「嫌です」と反射的に断ったのは、たかだかフリーランスのルポライター風情としてはありえない選択だった。圧倒的なPV数を誇るこの媒体での連載は、記者としてはノドから手が出る仕事。 それでも「貧困の当事者をコンテンツ化することは、もうやってはならない」「当事者の見せ物報道にはウンザリ」「あらためて現状の貧困問題についての提言記事ならばやらせていただく」と、大上段構えの返答をしてしまった。 幸い中の幸いにも「ならばその提言記事をお願いします」と言ってもらえたのでこうして書けてはいるが、残念ながらこれは昨今、けっこうな閲覧数を稼ぐ貧困当事者のルポ記事ではない。 本当にもう、うんざりなのだ。 僕自身がもう10年以上、子供や若者や女性の貧困をルポしてきた当事者報道の急先鋒でありながら、そし