よくこんな映画を作れたなと思う。82歳を迎え、制作に7年も8年もかかるような長編映画はさすがに最後になるであろう宮崎駿の最新作にして最終作、「君たちはどう生きるか」の話である。 見た人間にはきっとわかるであろうセルフオマージュの数々に、宮崎アニメのファンはきっと大喜びだと思う。俺にも過去作からの引用がたくさん見えた。銭形警部の姿すら幻視した。それだけで満足したっていい。 でもなあ……いやこれ本当にわかりにくいのだ。おそらくあえてそうしてるのだとは思うが、娯楽作品にもなり得たろうにそうしなかった。理由は知らないが、おかげで非常にわかりにくいのも確かだ。 最後なんだから自由にやってくれとは思うのだが、それにしてもあんまりにも見る側に委ねすぎた映画だ。説明が足りなすぎるとは言わない。確かによく見れば、よく考えれば、なるほどなと思える映画ではある。それにしても初見で理解できるかと言われると厳しいよ