どうにも自分はヨークシンという町と相性が悪いようだ。エイジアン大陸有数のマフィア『上帝会』のNO2、王星光(ワン・シンクヮン)は心の中で溜息をついた。五十路を過ぎても尚鋭さを保つその容貌にもいくらかの疲れが見える。 ボスの代理としてヨークシンドリームオークションへの参加を任されていたのだが、この二週間は不幸と気疲れの連続だったと言っていい。 ヨルビアン大陸への移動において使用したファミリーの所有する飛行船は、原因不明の機体トラブルにあい着陸予定地から遠く離れた荒野に不時着せざるを得なくなり、その後大破した。移動に余計な時間を食わされるのは王が最も嫌うことの一つだ。おまけにその時に右足を骨折したとあっては不機嫌にもなろうというものだった。 苦労してヨークシンシティまでつくと今度は、他のファミリーとのコネクションを作るために奔走しなければならない。ヨルビアン大陸系の巨大ファミリーのボスたちとの