「そんなバカな話があるか!」 アンギルダン将軍の言葉にイグニッカは反射的に怒号を張り上げていた。 だがイグニッカの怒りを前にしても、アンギルダン将軍の静かな表情が揺らぐことはなかった。むしろ孫のように接していた彼女を痛ましげなまなざしで見つめ、包み込むような穏やかな言葉で答える。 「……嬢ちゃんが知り合った一人、レオノーラ嬢は獣人よな?」 「それがどうしたっ!」 「彼女ならば、相手が嘘をついているか否か、においで識別できるはず。あとでわしを前に立たせて試せばよい」 イグニッカは、ぐむぅ、と胸を刺されたかのような苦しげな声をあげて椅子がわりの丸太に腰かけた。 嘘をつく気がない。獣人の嗅覚を前にすればどんな人間も感情を丸裸にされると聞いたことがある。すくなくともアンギルダン将軍は、イグニッカの父マイヤーの死が自殺であると確信している証となる。 だが、受け入れられるかは別だ。 イグニッカの気持ち
![【第二部開始】もう獣将姫さまの戦利品~母国を見捨てた天才奴隷は、彼女に機構の才を見出され、チートの師を継ぎ自動人形(ロボット)作り、そっと誰かへ手を伸ばす。 - 16:その真相(下)](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/7137bbd38127c5cb6eff10392d85e63fca1b37e2/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fsbo.syosetu.com%2Fn8235gp%2Ftwitter.png)