ある雑貨店の片隅に、古いスノードームが佇んでいる。 その中に住む者たちは、不安に駆られ、終末についての噂を交わしていた。 天空に、ある不穏な兆しがあらわれたのだ。 果たして「その時」は本当にやってくるのか? それはどんな風にやってくるのか? 小さな小さな世界の中で、静かに近づいてくる終末の記録。 傘の学生が店に来た。前回帽子の学生が来てから、3週間ぐらい経っていた。店の前に自転車を停めて、店に入ると店主に一言、コピー機の使用を伝えて、コピー機に向かった。 コピー機の前で、たすき掛けしていたカバンを下ろし、まずは服のポケットから小さな紙片を取り出してコピー機の操作盤の部分に置いた。紙片の長方形の右上の角が、操作盤に掘ってある浅い溝に沿うように置いた。そのあと、カバンからコピーする原稿を取り出した。十数枚程度の紙の束が、同じサイズのノートに挟まれていた。 店のコピー機を使う人間たちは、みんな似