ある雑貨店の片隅に、古いスノードームが佇んでいる。 その中に住む者たちは、不安に駆られ、終末についての噂を交わしていた。 天空に、ある不穏な兆しがあらわれたのだ。 果たして「その時」は本当にやってくるのか? それはどんな風にやってくるのか? 小さな小さな世界の中で、静かに近づいてくる終末の記録。 「フレークが動く」ということは、みんなにとって受け入れやすいことだった。そもそも、スノードームのフレークの形状や素材は、舞うように設計されているものだ。また、スノードームの液体のほうも、スノードーム本体が持ち上げられたり揺られたりした時にフレークが長い時間動き続けるよう、工夫されている。 カルラは「冬のほうがフレークは動きやすいのかもしれない」と言った。「液体の温度が、夏よりも冬のほうが大きく変動するだろうから」とカルラが続けた。「店内の気温は、夏の場合は最高で摂氏25度ぐらいだ。そこから夜中を経