【連載第1回:防衛装備・技術協力を通じた国際安全保障秩序の変化】 国家の安全保障政策の根幹をなすのは武力行使をめぐる力学の管理=防衛力である。その中核となる防衛装備品は安全保障上の脅威に対する予防・抑止・強制・抵抗といった国家防衛の基本機能を担保し、国家にとって望ましい安全保障環境を創出するための外交の地歩を固めるものとなる。 セオドア・ルーズベルトの「棍棒を携え、穏やかに話す(speak softly and carry a big stick)」外交政策は、防衛力の最終的な担保があってこそ、積極外交が可能になるという考え方だった。 兵器輸入の割合と特定国への依存 防衛力の基盤を整える防衛装備品の整備に必要な要素技術は世界に偏在しているが、先進的な装備品を生産できる防衛産業基盤は限られた国々に集中する。ストックホルム国際平和研究所(SIPRI、2022)によれば、世界の軍事関連企業上位1