◇大合併スリム化が逆効果 「復旧のスピード感、ない」 東日本大震災の罹災(りさい)証明書や支援金の申請に訪れる住民でごった返す宮城県石巻市役所。窓口業務の処理件数は通常の5~10倍に上る。復興対策室や復興の都市計画を担う基盤整備課も新設された。水没した庁舎1階に入る商業施設「エスタ」は9日に営業を再開した。 復旧・復興に向けてようやく歩み出した同市だが、今もまだ消息のつかめない親類や知人の安否情報を得ようと市役所にやってくる人の姿が絶えない。しかし、その市も住民の安否を把握できずにいる。市役所2階の片隅に置かれた、避難所ごとの「避難者名簿」が数少ない生存確認手段だ。書式もバラバラの手書きの分厚い紙の束。同級生を捜すため仙台市太白区から車で来た保護司、鈴木和夫さん(77)は「生きていることを信じて気長に全部見るしかない」とひたすら名簿を繰り続けた。 合併で広域になった人口約16万人の石巻市は