ある朝、目覚めたら脳がなくなっていて、自分が何者かわからなくなっている事態を想像してみてほしい。その後の数日間、無意識状態でいるうちに、特に何もしなくても脳が成長して、記憶も取り戻すようになる。SFのように聞こえると思うが、プラナリアにとってはこれが現実だ。 淡水に住むこの小さな無脊椎動物は、驚異的な再生能力を持っている。さらにその力は、記憶が生物の体内のどこに保存されているのかについて、生物学者に再考させている。 死をあざ笑うプラナリアプラナリアは扁形動物門に属し、淡水の小川で、石の下を滑るように移動する小さな生き物だ。しかし、その小ささとは裏腹に、研究機関では格段に重要な存在となっている。他のほとんどの動物にとっては、失ったら死を意味するような身体の部位を再生する、比類なき能力を持っているからだ。 2012年に学術誌『PLOS Computational Biology』に掲載された研

