震災後、テレビ、新聞、そしてネット上を流れる夥しい量の情報に振り回された。そして、可能な限り、自分の手と目で一次情報に当たり、その情報の解釈について立場の異なる複数の専門家の意見を聞き、最終的に自分の頭で結論を導くことの大切さを痛感した。 ほとんどの人が原典に当たらないまま、矮小化された孫引きの言い伝えを信じて行動してきたことで、我が国の経済に大きな負の遺産を残したものの一つに、ケインズの「一般理論」がある。少し前になるが、ある勉強会で同書を1年かけてじっくり読んだことで、自分がそれまで持っていた(限られた)ケインズ理論に関する理解が大きく変わった。震災後の復興、あるいは次なる景気後退局面での打ち手を考えて行く際にも参考になると思われるので、もう一度「一般理論」を本棚から引っ張り出して、読み返してみた。 ここでは「ケインズ政策によれば、政府は穴を掘ってでも雇用を創出するべきであるとされる」