「味がかわらないなら混ぜても問題ないと思っていた」。大阪府阪南市の老舗酒造会社「浪花酒造」の社長(52)はこう言って唇をかみしめた。今年2月、自社の酒蔵で造る新酒に安価な酒を混ぜて販売していたことが判明し、自主回収を余儀なくされたのだ。新酒に古酒を混ぜる手法は、味を調えるためとして酒造業界では通常行われることだという。だが、創業300年を誇る老舗は、「タブー」に手を出してしまい、店頭から同社の日本酒が一斉に消えるという“惨事”を招いてしまった。怠った“鉄則” 浪花酒造によると、通常は味の均一性を出すため、新酒に前年製造した同種の酒を数%混ぜていた。しかし、今回は同種の酒でなく、醸造アルコールや糖類の入った安値の酒を使ってしまった。 酒造関係者らによると、酒を造る際に古酒を混ぜるということは日本酒に限らず、さほど珍しいことではないのだという。 たとえば日本酒なら毎年同じ産地の米を使い、同じ製