タグ

ブックマーク / oboro102.hatenablog.com (3)

  • (43)テレビの音量が最大レベルに近い - おぼろ豆腐

    もう寝るから、と寝室に上がった母。 しばらくしてそこからテレビの音が聞こえてくる。 しかも階下まで響くような大音量だ。 心配になり私は階段を上る。 「入るよ」「うん」 襖を開けると母は布団に横たわりバラエティ番組を見ている。 「ちょっとテレビの音大きいんじゃない?」「そう?」 といってボリュームを下げる様子もない。 横にはまだ父の布団が並べて敷かれたままだった。 私はリモコンを手に取りボリュームを下げる。それは最大レベルに近かった。 「これくらいだと聴こえない?」「聴こえる」「そう。あんな大きいと近所迷惑だよ」「わかった」 さっきまであんなに饒舌に話していた母が、また昼間のように戻ってしまった。 打っても響かないというか、普通だったらこのような会話の中で「何故音量が大きかったのか」を説明する場面だ。 実際、母は耳は遠くないので恐らく寂しさを紛らすためだったのだと思う。 母の性格からして私に

    (43)テレビの音量が最大レベルに近い - おぼろ豆腐
    ochanclub
    ochanclub 2017/05/15
  • (29)健康な若者前提で成り立つ社会 - おぼろ豆腐

    仏間に寝かせた父の遺体の横には仏具が並べられ、そこに葬儀屋は二十四時間もつという蝋燭を供え、火を絶さないようにと言い残して帰っていった。 私たちの寝室は全て二階であったが、地震でも起きて蝋燭が倒れてはいけないと思い、私は仏間に隣り合った居間に布団を運び、その夜は父と一緒に眠ることにした。 肉体的な疲れよりもまだ精神的な動揺が勝っており、蝋燭の揺れる炎の灯りや柱時計の秒針の音でなかなか寝つけなかったのを覚えている。 翌朝も早い。 今日も忙しい一日になるからと、戸棚からビタミン剤を見つけ出し飲む。 まず棺を運び入れねばならないため玄関から続く廊下、台所を片付ける。 台所のテーブルは前日、母が何故か急かすので片付けたが、廊下に並べられた父の鉢植えがまだだし、それを並べるための台は私一人では持ち上げられなかった。 とにかく男手が足りないのだ。 これは私の周りだけなのか、日は女性の方が寿命が長いか

    (29)健康な若者前提で成り立つ社会 - おぼろ豆腐
    ochanclub
    ochanclub 2017/05/01
  • (17)優しいウソ - おぼろ豆腐

    遠方介護にも限界が見え始め、かと言ってこのままでは仮に施設が空いたとしても母は入居を拒むだろうと手詰まり感を覚えた頃。 私は認知症であることを医師から告知してもらってはどうかと姉に相談した。 私たちがこんなに口出しするのは、単に心配だからじゃない。自覚症状はないかも知れないけど、病気と診断されたからなんだよ。 こう言うことで病気である自覚を持ってもらい、進んで施設に入ってくれるのではないか。 私の考えはこうであった。 しかし姉の意見は違った。 かかりつけの心療内科医も、今まで一度もそういった告知はしていない。 人に認知症を突きつけることで、自信をなくし、症状は一段と進行するのではないか。 その考えは正しかった気がする。 母は既に論理的思考ができなくなっているのだ。 病気と割り切って治療に専念するといったことなどできないはずなのだ。 ここでも私は一段抜かしの近道を選ぼうとしていた。 心を守

    (17)優しいウソ - おぼろ豆腐
    ochanclub
    ochanclub 2017/04/19
  • 1