「私、この論文嫌い」 4時限目のゼミを終え、慌ただしく移動して5時限目の教室にたどりつく。今日は授業開始まで数分の余裕があるから、そのあいだに頭の中を整理して冷静に授業をはじめられそうだ。 内心で安堵しつつ次々と教室にやってくる学生たちの様子をなんとはなしに観察していたら、不意打ちのようにその声が聞こえた。 「私、この論文嫌い」 もちろん無関心ではいられない。5時限目は恋愛や結婚、性的欲望などに関する論文を読んでグループでディスカッションする授業なので、「この論文」とはその日の課題文献のことを指しているはずである。 もちろん学生が読むべきだと思って私が選んだものなので、「嫌い」な理由いかんによっては私の選択が間違っていたということになるかもしれない。 ちなみにその日の課題文献は女性の美容整形を題材にしたフェミニズムの文章で、主張は次のようなものだ。 「美容整形というのは本人の自由意志でやっ
![女子学生が抱いた“ある嫌悪感”から考える「女子のフェミ嫌い」問題(森山 至貴)](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/4b56ffbc90be70a69565393937ee47a0be6beb9e/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fgendai-m.ismcdn.jp%2Fmwimgs%2Fd%2F6%2F1200m%2Fimg_d67ce36a94dd95e7d8a1754f906fd85a121437.jpg)