離婚した頃、「お子さんがいなくてよかったですね」と何十回も言われました。当時の私は、そのたびに「子どもがいなくても、悲しみや苦労は一緒」と、心の中で叫んだものです。しかし、夫婦問題を扱う専門家となった今は「子どもがいない私はまだ楽だった」と、心から思えます。それは、親権や養育費の問題、離婚後の親の介護や相続の問題などで元夫婦が争うのを見ているからです。 離婚後、シングルマザーが仕事と子育ての両立に苦労する姿も見ています。一方で、離婚後は自由に子どもに会えない父親たちも知っています。どちらも、葛藤は想像を絶するものです。しかし近年、離婚後も元夫婦が協力して子育てをする「共同養育」の考え方が、日本でも広がりつつあります。なぜでしょうか。 G7の中で「単独親権制度」を採用しているのは日本だけ 総務省の人口動態統計(2016年)によると、離婚後に親子が会っているのは全体の3割にとどまっています。日