長い間モラハラ被害を受け続けるとどうなるのか。弁護士の大貫憲介さんは「夫のモラハラを受け、感情を殺しているうちに、泣いたり笑ったりして感情を外に出すことができなくなる妻は多い。モラハラのような精神的攻撃を受けると、相手の心身は傷つき、時にボロボロになってしまう」という――。 モラハラで感情を外に出せなくなった妻 私の事務所に相談に来た、30代後半の女性Aさんは、顔の表情に苦悩がにじみ出ていた。昭和中期まで、よく言われた「所帯やつれ」である。この言葉は、既に死語となっている感はあるが、離婚弁護士の体感として、所帯やつれの女性の数自体は、昭和中期と比べ、それほど減っていないと思う。 そのAさんは、「いつも夫から怒られてつらい」と言った。「つらくて泣くことはあるか」と尋ねると、もう何年も泣いたことはないという。新婚当時は、つらくて涙が出たが、泣くと「泣けばゆるされると思っているのか」と余計に怒ら