2010年11月21日のブックマーク (1件)

  •  百 物 語 (余)

    その男は十数人の少年を殺しながら逃亡中、一人の少年を襲った。 押し倒した少年の鞄から『蜘蛛の糸』が滑り出たので、 男は笑ってその子を開放した。 数年後、男は正当に捕らえられ裁かれ、絞首刑となった。 だらりと男を吊るしていた縄は、六分後にぶつりと切れた。 未婚で亡くなった娘の四十九日に現れる男の話。 好ましい様子の正装の男で、家族を前にすると 「娘さんを頂きに参りました」と深々と頭を下げる。 家族は反対したり歓迎したりを一通り済ませた後 男の、娘を必ず幸せにするとの言葉で締め括り 男を見送る際には少額の心付けを「持参金」として渡す。 男と娘には何の接点もない事は皆が承知している。 昭和五十年頃にはまだあった商売。 ~下~ あだ名が「ハト」という人がいる。 若い頃、2階建てアパートで一人暮らししていたハトさんは ある日を境に、やたらと視線を感じるようになった。 特に布団に入った時に背中に突き刺