『放・逐』(2006) 英語題:Exiled ジョニー・トー監督の最高傑作。ここに来て今年のベストワンに出会ってしまった。今、俺がこの映画について言える事といったら、「干涸びるくらい泣いた」とか「かっこよすぎて爆死しそうになった」とか、実に抽象的な言葉でしかない。とにかく観てもらわない事には素晴らしさが伝わらない映画なので、仕方ない。 もし無理矢理、解説みたいなもんを付け加えるとしたら……『放・逐』では、ジョニー・トー監督がこれまでこだわり続けてきた男たちの絆のドラマが、完全にファンタジーとして昇華されている。リュ・スンワン監督が『相棒 シティ・オブ・バイオレンス』(2006)で惜しくも到達しきれなかった領域へ、完璧に届いているのだ。おなじみのガンアクションも、もはやクールでもリアルでも地味でもない。『レジェンド 光と闇の伝説』(1985)ばりの熱く壮麗なファンタジーである。そして今や観客