ITが受験勉強の風景を様変わりさせている。参考書を買える書店もなかった離島は、インターネットを通じたオンライン予備校の登場で、大手予備校がひしめく都市部と変わらない受験環境を手に入れた。英単語カードの代わりにめくるのは、スマートフォンの勉強用アプリだ。大学入試センター試験まで2週間を切り、受験生は様々な方法でラストスパートに懸命だ。 ■離島にオンライン予備校 島根半島の沖合約60キロに浮かぶ隠岐諸島の一つで、人口約2400人の中ノ島・海士(あま)町。菱(ひし)浦港に面した公営塾「隠岐國(おきのくに)学習センター」では、クリスマスイブの夜も、イヤホンをつけた塾生たちがパソコン上に流れる講義動画を見つめながら、真剣な表情でノートに鉛筆を走らせていた。 島内に予備校はもちろん、参考書を扱う書店もなく、かつて大学進学をめざす子どもたちの多くは、中学卒業後に本土の高校に進んでいた。町は地元に残って受