若い学生ランナーの大舞台である箱根駅伝。 「人生一度きりの学生生活」でしか挑戦できない高みだと思われてきたが、近年は実業団を経て入学した学生ランナーも現れるなど、その裾野は広がりつつあるように思える。 そしてまた今回も、異色の経歴を持つランナーが箱根路へと挑む。 今井隆生。駿河台大学4年、31歳。現役体育教師。 一旦職務を離れて自己研鑽に励むことを目的とした「自己啓発等休業」制度を活用し、一昨年4月に心理学部3年に編入学。「2年限定」での箱根駅伝挑戦を決意し、チーム初出場を勝ち取った。 飯能市の中学校にいた一人の体育教師は、なぜ箱根路を目指し始めたのか。編入学に至るまでの道のりと、駿河台大の徳本一善監督との出会いから、その“意外な理由”が見えてきた(全3回の1回目/#2、#3に続く)。 〈一度は諦めた箱根駅伝出場の夢を諦めきれず駿河台大学へ――〉 30代間近での英断には、そんなドラマティッ