筆者の本業は貿易商である。仕事柄、シンガポールに出張することが多い。クライアントは中国系、現地では有力なファミリー企業の1つだ。早いもので彼らとのつき合いは30年になる。(文中敬称略) 公務員時代には北京に4年ほど住んでいたが、過去5年はビジネスマンとして年に数回シンガポールを訪れている。そこで見えてくるのは、大陸の中国人とは微妙に違うシンガポールの中国系社会だ。 シンガポールについてはおびただしい量の書籍や資料があり、詳しく話し始めると1冊の本が書ける。そこで、今回はシンガポールと中国大陸の中国人社会の比較に絞って、話を進めたい。 「啓蒙専制国家」シンガポール