『アタシ、もう泣かないもんね』地元の耳鼻科に、ほぼ毎日のように通って かなちゃんは鼻水を吸引されている。 毎回、かなちゃんは待合室にいるときは ご機嫌なのだが、いざ診察の順番がきくると、 恐怖の時間の始まりだ。 問診台に座り、看護師さんに押さえつけられ、 親もかなちゃんを羽交い絞めにし、先生が 吸引機を手にぐいぐいと鼻から吸い出すと、 この世のオワリかと思うほどの泣き声を出す。 そんな雄たけびを耳にするのが可哀そうで、 そこまで毎日耳鼻科に通わなくてもいいじゃん、 と、気のやさしいパパは思ってしまう。 だが、その先生の吸いっぷりがママにはいたく お気に召した様子で、かなちゃんが朝晩に ちょっとでも鼻水たらそうものなら、すぐさまに 耳鼻科行きが決定されてしまうのだった。 それが、この１週間ほど、様子が変わった。 かなちゃんが泣かなくなった。 今日も夕方に診察にいった。いつものように みなで羽交い絞めにして、先生が吸引する
