運の悪いおとこの話 運の悪いおとこがいる。 もちろん私である。 1995年からミャンマーで医療をはじめ、当時は未熟な自分のレベルにもかかわらず、果敢にというと聞こえはいいが、若干、無謀に思えるほどに手術に挑んできた。 当然、手術がうまくいかなかったことはあったが、事故や危機的な状況に陥ることは皆無であった。 当時の私は、神仏に守られている、感じていた。 自分は運のいい人間なのだと、思えた。 2年前はじめて、事故が起こったり、人が様々な理由で亡くなった。 自分はそれほど運が良くないかっも知れないと、ふと、感じはじめた。 神仏も本当は守ってくれていないのではないかと。 昨年、本当に何人かの子どもが亡くなってしまった。 理由は様々で、医学的に言い訳はいくらでもできるが、要は、私が、私たちのチームが治療に挑んで、あるいは挑もうとしている過程で、子どもが死んだ、あるいは死なせてしまったということだ。