開始早々の事だった。キックオフから攻めこもうとした日本の攻撃をヨルダンがはね返し、やや落ち着かない時間帯。ハーフウェイライン手前でボールを受けた遠藤が、右斜め前方約15mの長谷部へ、鋭く球足の速いグラウンダのパスを通した。 タイミングといい、強さといい、抜群のパスだった。 これを受けた長谷部が前を向いた瞬間、日本の「フェスタ」が始まった。そして、私は今日の大勝を確信した。遠藤は必ずしもオマーン戦では本調子とは言えなかった。しかし、この長谷部へのパスを見て、「今日の遠藤は違う、あの全軍を支配する遠藤が帰ってきた」と確認できたからだ。 以降、遠藤のプレイは冴えわたる。 5分、右サイドから中央に鮮やかな動き出しでペナルティエリア中央に飛び出してきた岡崎にピタリとロブを合わせる。岡崎は落ち着いて胸でトラップし、振り向きざま強烈なボレーシュートを放つが、ヨルダンGKシャフィに見事なセービングで防がれ