新作について ――今野さんの新作『エチュード』は渋谷、新宿で連続通り魔事件が発生、しかし、現行犯逮捕された被疑者がいずれも「自分はやってない」と主張する、非常に謎めいた展開で始まります。 今野 今回はずばり「手品」です。読者を騙すための仕掛けを随所に盛り込み、文体にまで仕掛けを施しました。手品はどうやって成立しているのか。本質を隠したい時に、他に目を引くポイントを演出すれば、観客はそこを見ちゃうんですよね。人間についても、ひとりひとりを認識しているとすり替えは不可能なんですけれど、ある心理的操作をすることによってそれが可能になる。それは手品の仕組みとまったく同じなんです。 ――一方、誉田さんの『歌舞伎町セブン』は、日本一の繁華街を舞台に、巨大な陰謀に立ち向かう謎の人々が登場します。これまた、思わず膝を打つ大きな趣向が......。 誉田 はい。それを言おうかどうか、迷っているんですが(笑)