書誌情報:ちくま新書(780),270頁,本体価格780円,2009年4月10日発行 資本主義の暴走をいかに抑えるか (ちくま新書) 作者:柴田 徳太郎メディア: 新書 - サブプライムローン問題から金融危機の発生を経験して,貸付債権の証券化と金融工学にもとづいたアメリカ型「証券化」資本主義(著者の言葉)の欠陥が指摘されるようになった。その際,市場に任せる政策の限界となんらかの規制の必要性が対になって主張されるようになった。 これにたいし著者は,市場とともに考えられなければならないのは国家や規制ではなく,制度や組織であるとする。もともと市場経済を支えているのは私有財産制と貨幣制度という制度であり,市場経済の変化につれて進化する。現実の市場における費用逓減や投資の不確実性への対応として制度の変容がある。この立場をはっきりさせたうえで,労働市場における労使の力の不均衡を是正するための諸制度の歴