映画に出てくる交渉マンなら「嫌味で冷酷」だが…… 自分の要求を容赦なく相手に突きつけ、そして狙いどおりのものを手に入れるピンストライプのスーツを着た嫌味な人物。こうした交渉担当の冷酷なビジネスマンのイメージを私たちに植えつけたのはハリウッド映画だ。 だがそういう映画のストーリーを書く脚本家の収入は、映画業界のなかではお世辞にも多いほうとはいえない。映画にかかわるクリエイティブな仕事をしている人々のなかで、もっとも労働契約条件が悪いのは脚本家だ。つまり、脚本家は交渉が不得手なのである。皮肉なものだ。 交渉相手とはよい関係を築いたほうが、交渉の成果は上がりやすい。その理由を知りたければ、自分自身にこう問いかけてみるといい。交渉においてあなたが寛大になれるのは、好感のもてる相手に対してだろうか? それともあまり好感のもてない相手に対してだろうか? 関係性のよさが重要な理由はしごく単純だ。私たちは