人の抗酸化遺伝子組み込み 老化やがんの原因となる活性酸素を抑えるチオレドキシンという人の体内物質を、大量に含むレタス=写真=の開発に、京都大ウイルス研究所の淀井淳司教授(感染防御)と奈良先端科学技術大学院大の横田明穂教授(植物分子生理学)のグループが成功、28日発表した。医薬品や健康食品としての利用が期待される。 チオレドキシンは抗酸化作用を持ち、様々な体内物質の働きを調節している。人のチオレドキシン遺伝子は1989年に淀井教授らが発見。体内のチオレドキシン量を増やしたマウスはストレスに強く、平均約30%長生きした。 横田教授らは、植物体内に大量に存在する葉緑体に着目。人のチオレドキシン遺伝子を葉緑体内に組み込んだところ、通常の細胞核に入れる遺伝子組み換えの場合の約100倍のチオレドキシンが合成された。横田教授は「付加価値の高いレタスとなり、産業面でも大きなメリットになる」と話している。