若いころは、刑務所を出たり入ったりを繰り返した。その繰り返しのなかでやがて、自分は世界有数の演劇学校に入り俳優になるのだと決めた。実現不可能に思えるこの野望を抱いて、マイケル・バロガンさんは前に進んだ(以下、敬称略)。 独房でひとり座っていたマイケル・バロガンは、自分がどれだけ失敗を重ねてきたか思い返していた。自分がいかに、チャンスを逃してきたか。そこでバロガンは決心した。これからどうやって生きていくのか、朝までに決められなかったら、その場で首を吊って死のうと。 バロガンは目を閉じて、自分が経験してきた様々な場面を振り返った。家庭を捨てた父親のこと。麻薬密売の罪で刑務所送りになった母親のこと。自分が福祉職員に保護された日のこと。そして、初めて道端で犯罪に手を染めたときのこと。自分自身が服役した日々。いくつものやり直しのチャンスが、自分のせいで駄目になったこと。